連載15
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ザ・ライトスタッフオフィス「漢字研究会」

◆用例別に四文字熟語を読み解こう(1)

愛情や友情にまつわる語

愛縁機縁 「愛縁」は愛し合う縁、「機縁」は動機・機会の意味。人との付き合いでは、気心が合うこともあれば合わないこともあるが、それも不思議な縁によるものだという意味。とくに男女の仲を表現するときに使われる。=合縁機縁・合縁奇縁・愛縁奇縁。〈あいえんきえん

愛別離苦 仏教でいう八苦のひとつで、愛する人との別れ(生別、死別)の苦しみのことをいう。〈あいべつりく
◆一口知識
そもそも仏教では、人は、生老病死(生まれる・老いる・病む・死ぬ)という誰もが避けて通れない宿命=四苦を持っていると捉えているが、釈迦はこの四苦にさらに四つの苦(離苦・会苦・得苦・情苦)が加わるとして「四苦八苦」と定義した。それが、「愛別離苦(愛する人ともいつかは離別しなければならない)」「怨憎会苦(イヤな奴や嫌いな人でも会わなくてはならない)」「求不得苦(欲しいものが得られない)」「五陰情苦(食欲や性欲が過ぎて自制が利かず心が乱れる)」である。

異体同心 からだは別々でも心はひとつであること。とくに仲のいい夫婦のことをいう。用例)妻とは異体同心だ。〈いたいどうしん
一日千秋 一日会わないだけで、まるで千年も会っていないように思えるほど、想い焦がれること。ここで使われる秋は「年」の意味。用例) 一日千秋の想いを抱く。〈いちにちせんしゅう
一視同仁 「仁」は、人としての思いやり・いつくしみ・なさけを意味することから、どんな人も差別することなく、平等に愛し、いつくしむことをいう。〈いっしどうじん
益者三友 付き合って有益な友人とは、正直な人、誠実な人、物知りな人の三通りだという教え。〈えきしゃさんゆう

鴛鴦之契 夫婦仲がとてもいいことのたとえ。一生連れ添うという約束。ちなみに、「鴛」は雄のオシドリ、「鴦」は雌のオシドリのこと。用例) 鴛鴦の契りを結ぶ。〈えんおうのちぎり
◆一口知識
 春秋時代、宋の暴君・康王(こうおう)は、家臣の韓憑(かんびょう)の妻・何氏(かし)に目をつけ、側室にしたが、ふたりは「あの世でいっしょになろう」と自殺してしまった。怒った康王は、ふたりのなきがらを別々の塚に葬ったが、いつしか梓の木が生え、枝と枝が結びつき、そこに雌雄の鴛鴦が巣をつくったという逸話から生まれた語である。

偕老同穴 「偕」は〝ともに・いっしょに〟という意味。夫婦がなかよく、ともに年老っていき、死んでからも同じ墓に葬られることから、夫婦の契りが固いことをいう。〈かいろうどうけつ

比翼連理 「比翼」とは、目と翼がひとつずつしかなく、常に雌雄が一体となって飛ぶという想像上の鳥。また、「連理」は、二本の木が途中でくっついていっしょになること。そこから、夫婦の縁が深いことをいう。〈ひよくれんり
◆一口知識
 中国の詩人・白楽天は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃が、七夕の夜、永久に夫婦であることを祈ったときのことばを次のような詩にして残している。
《天に在りては願わくは比翼の鳥となり
  地にありては願わくば連理の枝とならんと》

家族・一族・ふるさとにまつわる語

一家団欒 家族が一堂に集まり、食事や会話を楽しむこと。用例) 一家団欒の場を大切にする。〈いっかだんらん
一族郎党 血縁関係のある一族と、それに付き従う家来たち。転じて、有力者とその取り巻きたちのことをいう。用例) 一族郎党を引き連れる。〈いちぞくろうとう

越鳥南枝 遠く離れた故郷を想い、親を慕うことをいう。用例) 越鳥南枝に巣くう。〈えっちょうなんし
◆一口知識
もともとは「越鳥南枝に巣くい、胡馬(こば)北風に依る」という詩から生まれた語。南の越の国から飛んできた鳥は、故郷の方角である南の枝に巣をつくるということから、故郷や親を想い慕う意味として使われている。

一腹一生 同じ父母から生まれた兄弟・姉妹のこと。〈いっぷくいっしょう
厳父慈母 厳しい父に優しい母。〈げんぷじぼ
子子孫孫 子孫、末代のすえずえまで、という意味。用例) 子子孫孫まで栄えることを願う。〈ししそんそん
亭主関白 夫が家庭でとてもいばっていること。〈ていしゅかんぱく
夫唱婦随 妻が夫に従うこと。〈ふしょうふずい
良妻賢母 夫に対しては貞淑な妻で、子供に対しては賢い母であること。〈りょうさいけんぼ

人生の悟りを得られる語

一期一会 一生に一度しかない出会いのこと。用例) 一期一会の出会いを大切にする。〈いちごいちえ
◆一口知識
「一期」は人が生まれてから死ぬまでのこと。「一会」は会合のこと。茶会は、毎回、一生に一度だという思いを込めて、誠心誠意、悔いのないように行わなければならないという茶道の教えから、一生の間に一度しかない出会いのことをいうようになった。

因果応報 「因果」は、原因と結果。前世における行為の結果として現在の幸不幸が存在しており、現在の行為が来世の幸不幸を決めるという仏教の考え方から生まれたことば。悪い行いや考えには、必ず悪い結果がついてまわることをいう。〈いんがおうほう
運否天賦 「運否」とは幸運と不運のこと。運・不運は、しょせん天が定めることだという意味。一か八かの出たとこ勝負。用例) 勝負は運否天賦なり。〈うんぷてんぷ
栄枯盛衰 草木が青々と生い茂ったり、枯れ果てたりすることから、栄えたり、衰えたりすることをいう。とくに、隆盛と衰退を繰り返す人の世の移り変わりの激しさを意味している。用例) 栄枯盛衰は世の常だ。〈えいこせいすい
会者定離 出会った者は必ず別れる運命にあるという仏教のことば。この世が無常であることを意味する。〈えしゃじょうり
色即是空 「色即是空」は「般若心経」の一節に書かれている語だが、般若心経の中心となる思想で、「この世の万物は形をもつが、その形は仮のもので、本質は空であり、不変のものではないという意」だとされている。つまり、形あるものはすべて永久に存在することはできない。だから、ものごとの本質は空(くう)であるとする仏教の教え。〈しきそくぜくう
寂滅為楽 仏教の教えでは、煩悩をすべて打ち消し、真理の智慧を完成させた状態のことを「寂滅」というが、煩悩を脱してこそ、真の安楽が得られるという意味。〈じゃくめついらく
生死流転 「生死」とは生きることと死ぬことの意味だが、煩悩を捨てることも、解脱することもできず、生死の間をいつまで果てしなく巡ること。=輪廻流転(りんねるてん)。〈しょうじるてん
生者必滅 生あるものは必ず死を迎えるということから、無常の意味。=盛者必滅(じょうじゃひつめつ)。〈しょうじゃひつめつ
諸行無常 この世の一切のものは常に移り変わっていくものだという仏教の思想。〈しょぎょうむじょう

世過ぎ身過ぎを戒める語

阿附迎合 「阿」は人におもねる意を持つことから、へつらって相手のご機嫌を取り、気に入られようとすることをいう。当然、周囲の人には嫌われる。=阿諛追従(あゆついしょう)。用例) 強いものに阿附迎合する。〈あふげいごう
慇懃無礼 ていねいすぎては、かえって失礼にあたること。用例) 慇懃無礼が過ぎると無礼尊大(ぶれいそんだい)となる。〈いんぎんぶれい
隠忍自重 じっとがまんして、軽々しい行動は慎むべきだということ。用例) つらいときには隠忍自重して耐えるべし。〈いんにんじちょう
遠謀深慮 遠い将来のことを見据え、しっかり計画すべきだということ。用例) 人生には遠謀深慮も必要だ。〈えんぼうしんりょ
我田引水 自分の田だけに水を引き入れることから、他人のことを考えず、自分のつごうのいいように言動を起こすことを意味する。用例) 我田引水ぶりが目に余る。〈がでんいんすい
七里結界 悪魔を防ぎ、修行するために七里四方に結界を張ることから、人を嫌って寄せつけない生き方をいう。〈しちりけっかい
首鼠両端 鼠が穴から首を出してのぞくように、ひそかに様子をうかがいながら、どうしようか迷うこと。〈しゅそりょうたん

朝三暮四 目先のことばかりこだわって、結果が同じであることに気づかないこと。人をだますこと。あるいは命をつなぐだけのはかない生活のこと。〈ちょうさんぼし
◆一口知識
 昔、宋の国で猿回しが、えさを減らそうと、「これからはトチの実を朝に三つ、暮れに四つにする」と言ったところ、サルたちはえらく怒ったので、「では、朝四つ、暮れ三つにする」と言ったところ、たいそう喜んだという。この逸話から、目先のつごうのいいことを言って、相手をだますことをいうようになった。

道聴塗説 「論語」に出てくる「道で聞いてすぐに人に話す」という逸話から生まれた語。善いことを聞いても、それを自分のものとしないこと。あるいは他人の説を吟味することもなく、受け売りすることやいい加減なうわさのこと。当然、そうした言動やうわさに気をつけるべきだという意味で使われることが多い。〈どうちょうとせつ

馬耳東風 聞く耳を持たないこと。人の意見を聞かないこと。用例) あの人には何を言っても馬耳東風だから、時間の無駄だ。〈ばじとうふう
◆一口知識
もともと李白の詩「詩を吟(ぎん)じ賦(ふ)を作る 北窗(ほくそう)の裏、萬言(ばんげん)直(あたい)せず、一杯の水。世人此(こ)れを聞きて皆頭(こうべ)を掉(ふ)る、東風の馬耳(ばじ)を射るが如(ごと)き有り」から生まれた語。「世間の人々は詩や賦を聞いても、すばらしさを理解できず、頭を振り、ちょうど馬の耳に東風が吹くのと同じように、気にもとめられない」ということから、せっかくいいことを聞いても、何ひとつ役立てようとしない人のことをいう。

八方美人 誰に対しても愛想のいい人。逆に、信頼されない人のことをいう。用例) 彼女は八方美人だから、あてにはできない。〈はっぽうびじん

生き方を示唆する語

曳尾塗中 高貴な身分になって束縛されるより、たとえ貧しくても自由に生きたほうがいいという意味。〈えいびとちゅう
◆一口知識
荘子が、仕官の話がきたときに、「亀は死んで占いに使われ尊ばれるのと、尾を曳いて泥の中で生きるのと、どちらを求めるだろうか」と言って、その話を断ったという故事から生まれた語。

閑雲野鶴 「空に浮かぶ雲と野に遊ぶ鶴」ということから、ゆうゆうと自然を楽しみながら暮らすことを意味する。〈かんうんやかく
行雲流水 空の雲と流れる雲のごとく、自然の成り行きにまかせること。用例) 行雲流水の生活。〈こううんりゅうすい〉 
晴耕雨読 晴天の日には畑を耕し、雨天の日には本を読む。仕事や役割に振り回されず、自由に生きること。用例) 晴耕雨読の日々を送る。〈せいこううどく
南船北馬 中国の南部は河川が多いので舟で行き来し、北部は山が多いので馬で移動するということから、あちこちを旅して回ることや、旅から旅への日々を送ることをいう。〈なんせんほくば

人と人の関係を表す語

唯唯諾諾
 「唯唯」はほかの人の意見にまったく逆らわないさま。善悪や是非にかかわらず。なにごとも人の言いなりになること。用例) 彼は誰にでも唯唯諾諾と従う。〈いいだくだく
意気投合 互いの気持ちがピタリと一致すること。〈いきとうごう
以心伝心 もともとは仏法の奥義を、文字やことばではなく、師の心から弟子の心に伝えることをいみしている。転じて、ことばを交わすことなく、無言のうちに考えや思いが通じることをいう。用例) 彼とは以心伝心で話が通じる。〈いしんでんしん
一宿一飯 旅の途中に一晩泊めてもらい、食事を振舞われること。転じて、ちょっとしたことでお世話になること。用例) 一宿一飯の恩を忘れない。〈いっしゅくいっぱん
一心同体 何かの目標に対して、複数の人が心をひとつにし、力を合わせること。〈いっしんどうたい
一顰一笑 「顰」は顔をしかめること。顔をしかめたり、笑ったりすることで、相手への感情が表にあらわれることや、人の顔色や機嫌を意味する。用例) 一顰一笑に左右される。〈いっぴんいっしょういちびんいっしょう
依怙贔屓 「依怙」は一方だけの肩をもつこと、不公平なこと。「贔屓」は行為をもち、個人的に力を添えること。そのふたつを重ねることで、気に入った人だけをひいきにすること、不公平なことをいう。用例) 彼は依怙贔屓がひどい。〈えこひいき
燕雀鴻鵠 所詮、大人物の志は、小人物には理解できないことのたとえ。〈えんじゃくこうこく
◆一口知識
「燕雀」はツバメとスズメのような小さな鳥のことで、度量の小さな人物のことをいう。一方、「鴻鵠」はオオトリとコウノトリなどの大きな鳥のことで、大人物のことをいう。燕雀鴻鵠は、『史記』の「燕雀安(いずく)んぞ鴻鵠の志を知らんや」から生まれた語である。

虚心坦懐 心に何のわだかまりも持たず、素直にものごとや他人と接すること。用例) 他人と虚心坦懐に接する。〈きょしんたんかい
揣摩臆測 「揣」「摩」ともにおしはかることを意味する。自分だけの判断で、根拠なく、人の気持ちやものごとを憶測したり、推量することをいう。用例) 揣摩臆測がとびかう。〈しまおくそく
当意即妙 その場、その場で機転をきかせること。用例) 当意即妙な答え。〈とういそくみょう
二人三脚 ふたりが足を結び合って走る競技。ともに協力しあうこと。〈ににんさんきゃく
半信半疑 完全には信じられないこと。ほんとうかどうか迷うこと。用例) 半信半疑で話を聞く。〈はんしんはんぎ
不即不離 つかず離れずいるさま。用例) 彼とは不即不離の仲だ。〈ふそくふり
付和雷同 人の言うことを疑いもなく信じ、従うこと。〈ふわらいどう
面従腹背 表面的には服従しているように見せながら、心の中では反抗していること。〈めんじゅうふくはい

人と社会の関係を表す語

悪事千里 善行はなかなか人に伝わらないが、悪いことはあっという間に千里も離れた土地まで広まってしまうということ。用例) 悪事千里を走る。〈あくじせんり
虚虚実実 お互いに持てる技や秘術を尽くして戦うこと。用例) 虚虚実実のかけひき。〈きょきょじつじつ
愚問愚答 くだらない質問に、愚かな答え。意味のない論議のこと。〈ぐもんぐとう
共存共栄 共に生存、栄えること。用例) 隣国との共存共栄をはかる。〈きょうそんきょうえい
旗幟鮮明 旗や幟(のぼり)が色鮮やかにわかれており、敵、味方の区別がはっきりしていることから、自分の主張や立場をはっきりと示すことをいう。用例) 自らの立場を旗幟鮮明にする。〈きしせんめい
甲論乙駁 甲が言えば乙が反対するという状態で、議論がまとまらないこと。〈こうろんおつばく
誇大妄想 ものごとを実際以上に過大に思い込むこと。用例) 誇大妄想にとらわれる。〈こだいもうそう
至公至平 ものごとが極めて公平であること。〈しこうしへい
弱肉強食 動物界では強いものが弱いものを食べて生きていくことから、強者が弱者の犠牲のうえで繁栄していくことをいう。用例) 人間の社会も弱肉強食の世界だ。〈じゃくにくきょうしょく
十人十色 一人ひとり好みや行動がそれぞれ違うこと。用例) 人の考えは十人十色だ。〈じゅうにんといろ

是是非非 よいことはよい、悪いことは悪いと態度をはっきり示すこと。用例) ものごとを是是非非で決定する。〈ぜぜひひ
◆一口知識
ともに孔子の弟子でありながら、孟子が性善説を唱え、荀子が性悪説を唱えたことはよく知られているが、是是非非は、荀子の「是を是とし非を非とする、これを知といい、是を非とし非を是とする、これを愚という」というおしえから生まれた語。

是非曲直 よいことも悪いこともひっくるめてしまうこと。〈ぜひきょくちょく
千差万別 いろいろなことに、さまざまな違いがあること。またはそのさま。用例) 千差万別の意見が交わされる。〈せんさばんべつ
千思万考 いろいろと思い、考えをめぐらせること。用例) 危機を前に千思万考する。〈せんしばんこう
前人未到 いままで誰も足を踏み入れたことのないこと。また、誰もなしえなかったこと、分野。用例) 前人未到の偉業を果たす。〈ぜんじんみとう
張三李四 「張」や「李」が中国ではありふれた名前であることから、ありふれた変凡な人々のことをいう。〈ちょうさんりし
適材適所 人によって、それぞれの才能を発揮できるように適した地位や部署に配置すること。〈てきざいてきしょ
適者生存 環境に適応できた種が生存競争で生き残っていくことから、状況に応じて適合したものが残り、そうでないものは脱落していくことを意味する。〈てきしゃせいぞん
天涯孤独 この世にまったく身寄りもなく、ひとりさびしく状態であること。あるいはひとりで孤独に暮らすさま。用例) 天涯孤独の身の上。〈てんがいこどく
道理至極 言うことやすることが、このうえもなく世の道理にかなっていること。〈どうりしごく
独立独歩 人の力を頼らずに、自立して自分の力でものごとを進めること。用例) 独立独歩の精神。〈どくりつどっぽ
二者選一 ふたつのうちひとつを選ぶこと。=二者択一。〈にしゃせんいつ
拍手喝采 多くの人が拍手をして褒め称えること。用例) 拍手喝采の賞賛を浴びる。〈はくしゅかっさい
反骨精神 権力や時勢に対抗・反抗する気力のこと。用例) 彼は反骨精神の持ち主だ。〈はんこつせいしん
被害妄想 事実はそうではないにもかかわらず、いつでも人から危害を加えられているのではないかと思い込むこと。〈ひがいもうそう
飛耳長目 遠くのことまでよく見聞する能力を有すること。観察力のあること。または、見聞・知識を広げられる書籍のこと。=長目飛耳。〈ひじちょうもく