連載2
あなたはこの漢字を読めますか?
ザ・ライトスタッフオフィス「漢字研究会」

第一章 新聞や週刊誌によく出てくる
    この漢字を読めますか


《首相は閣議で、「総人件費の抑制は喫緊の課題」と発言した》
きっきん〉「喫」は喫茶・喫煙などのように食べる・吸い込むことを意味するほか、打撃を身に受ける意味もある。また「緊」は差し迫っていることを意味することから、「喫緊」は、差し迫っていて大切なことを意味する。いずれの漢字も画数が多い複雑な字だが、気張らずに普通に読めば正解する。「吃緊」とも書く。

《首相は日本記者クラブで記者会見し、後継首相について改革路線を踏襲する人物とした》
とうしゅう〉以前に実施された方法や前人の考えを、そのまま引き継ぎ、行っていくこと。

    不退転の決意を表明する》
    ふたいてん〉仏教の修行をくじけずに行うこと。また、かたく信じて動かない姿勢を示すことをいう。

    《反対勢力を牽制する》
    けんせい〉相手を脅して、行動の自由をさまだけ、抑えつけること

    《強気相場が大きな転換点を迎え、先物建玉残が急ピッチで減少し始めた》
    たてぎょく〉証券会社にお金を借り受けて、株式の売買注文することを "建玉する" という。信用取引のときなどによく行われる。
    また、その後、売買注文を決済する(買った場合は売る、売った場合は買う)ことを「
    落玉おちぎょく)」という。
    ちなみに、信用取引では、「買い」(
    買建かいたち)、「売り」(売建うりたち)のどちらから始めても構わないが、一般的に、一定期間内の売買決済(落玉)を約束しているので、「買建」した場合には「売落」、「売建」した場合には「買落」しなければならない。ちなみに先物建玉残とは、先物取引において、建玉したものの、未決済(決済したいができないものも)のものをいう。

    《買収した企業の資産を売却し、自分がもうけるためのM&Aでは、企業価値が上がるどころではない。会社は疲弊し、失業を生む》
    ひへい〉疲れ果て、勢いが弱まること。

    《必死の形相で攻勢をアピールする》
    ぎょうそう〉顔つきのこと。ことに、激しい感情を表す顔つきをいう。「仁王のような形相」という言い回しも使われる。ただし、哲学で「形相と質料」という場合には「けいそう」と読む。

    《高校受験に失敗して逆恨みする》
    さかうらみ〉本来、恨みに思うべき人が逆に恨みに思われること。あるいは、せっかく示された好意に対し、逆に恨むことを意味する。

    《海岸で、入水心中を図って妻を水死させたとして、夫を自殺ほう助の疑いで逮捕した》
    じゅすい=にゅうすい〉海や川に身投げすること。投身自殺。

    《義をなすは、を避け誉れに就くに非ず》
    そしり〉毀は、土のかたまりをくずし、こぼつことをあらわす字だが、ものをこわす、たたかいにやぶれる、人の悪口を言い、そしることなどをいう。ここでは人の悪口をいい、そしる意味で使われているが、謗、譏の字を当てることもある。

    《約四十年ぶりの再会を果たし、顔には安堵の表情が浮かんでいた》
    あんど〉安心すること。古くは、領主が武士や寺社に土地の所有を認めることを意味していた。

    《追悼集会を催すとともに、資料展を通して、戦争の惨禍を伝える》
    さんか〉いたましいわざわいのこと。

    《「ママは自分と相手しか見ていないみたい」と、視野の狭窄を子にも指摘された》
    きょうさく〉狭は陜の俗字だが、もともとは、いやしいという意味をもつ犬と、せまい意味をもつ夾という字を組み合わせた字。窄もまた、せまいことを意味しており、狭窄はすぼまってせまいことをいう。

    《法案の骨子を決定する》
    こっし〉ものごとの中心となる大切な部分。要点のこと。

    《企業人であっても社会的体面という矜持は保たなくてはならないという価値観が、バブルの中で失われていった》
    きょうじ〉「矜」は自負すること、誇ることを意味する字で、「矜持」は自分にプライドや自信を持っていることをいう。なお、「持」のかわりに、たよりあてにする意味をもつ「恃」をあてて、「矜恃」と書くこともある。

    《"旬" の芸能人や市井の人々を観察する》
    しせい〉「市井」は庶民が生活している街のこと、あるいは庶民を意味する。昔、井戸を掘った場所に人々が集まったことに由来する語。

    《人間の欲を追求することが高度にかなえられた社会は、爛熟した大衆消費社会であるとも言える》
    らんじゅく〉ものが熟しすぎて、ただれてしまうこと。文化が高度に進み、成熟していくこと。

    《株主総会で定款を変更する》
    ていかん〉株式会社などの法人の組織や業務にかんして定めている規則。


    《金勘定の顔、嫉妬の顔、用便の顔、媾合の顔、食べる顔の五つは、人に見せてはいけない顔である》
    こうごう〉「交合」「交媾」とも書く。男女または雌雄が交わること。

    《無益な殺生をしてはならない》
    せっしょう〉「殺生」は生きものを殺すこと。ちなみに、「そんな殺生な」という場合の「殺生」は、むごいことや非道なことに対する抗議の意味を含んでいる。

    久遠の女に恋焦がれる》
    くおん〉時が延々と続いていくこと。永遠の意味。

    《全国を行脚する》
    あんぎゃ〉お坊さんがあちこち旅をしながら修行すること。また、ほうぼうに出かけ歩くことをいう。

    《生産工程の情報をガラス張りにすることで、協力メーカーが生産計画を立てやすくなり、仕事の繁閑に合わせた資材調達ができるようになる》
    はんかん〉いそがしい状態とひまな状態のこと。

    後場は株価指数先物との裁定買いも断続的に入り、値上がり銘柄数は千百を超えた》
    ごば〉午後に行われる取引のこと。そもそも日本の株式市場における取引は、昼休みをはさんで午前と午後に行われるが、前者を「前場(ぜんば)」、後者を「後場(ごば)」という。東京証券取引所の前場は午前九時〜一一時、後場は午後〇時三〇分〜三時。なお、立ち会いの最初を「寄り付き(よりつき)」というが、前場と後場のそれぞれにある。ただし、単に「寄り付き」と言った場合は通常、前場の寄り付きのことを意味し、後場については「後場の寄り付き=略して後場寄り(ごばより)」といって区別している。また、前場の最終取引は「前引け(まえびけ)」、一日の立ち会いの最終取引(つまり後場の最終取引)は「大引け(おおびけ)」という。

    《祭りで、力士が稲の精霊と相撲をとる神事「一人角力(ずもう)」が奉納された》
    せいれい〉山や川、あるいは草木など宿るとされている魂のことをいう場合には「せいれい」と読む。一方、「精霊流し」「精霊会」などのように死者の霊魂のことを指す場合は一般的に「しょうりょう」と読むが、さだまさし氏のヒット曲「精霊流し」では「しょうろうながし」と読ませている。

    《王位争奪戦は熾烈さを加えている》
    しれつ〉勢いが激しく、とても盛んなこと。そもそも「熾」は火の勢いがさかんであることを意味しているが、それに「烈」の字を重ねることで、はげしさをより強調している。

    《自分の放蕩の日々を反省する》
    ほうとう〉酒や女遊びにふけって、放埓な生活を送ること。

    《受験率は平成十一年から七年連続で漸増を続けている》
    ぜんぞう〉じょじょに(だんだんと)増えていくこと。

    《心の葛藤を隠す》
    かっとう〉人と人がいがみあうこと。あるいは、心の中に相反する欲求や感情が渦巻き、どちらをとるか迷うことをいう。

    《医療従事者が患者を無差別に狙った事件なのか、それともほかの原因を被告の犯罪に仕立てた冤罪なのか》
    えんざい〉「冤」は「冖(おおい)」と「兔(うさぎ)」を組み合わせた字だが、ウサギが網にかかって身動きできなくなったさまを表している。つまり、屈従を強いられることを意味しており、無実の罪、濡れ衣を着せられること。

    《A社がB社に対する新株予約権の発行差し止めを求めた仮処分申請について、東京地裁で初の審尋が開かれた》
    しんじん〉裁判所が、民事訴訟の当事者や証人などに、詳しく問いただすこと。審問。審訊とも書く。

    《この国を信じ、散華した勇士たちに恥じぬような心で、国づくりをすることこそ、命を散らした彼らに報いる道だと信じている》
    さんげ〉仏を供養するために、墓前に花などを撒き散らすこと。あるいは華々しく、戦死すること。ここでは後者の意味で使われている。