連載4
あなたはこの漢字を読めますか?
ザ・ライトスタッフオフィス「漢字研究会」

◆他にもまだある読めない漢字(2)


流鏑馬を見物する  馬に乗って走りながら、鏑矢(かぶらや)三本を連続して的に射る競技。鎌倉時代に騎射戦の練習として盛んに行われた。〈やぶさめ

陸屋根の家  勾配が少なく、ほとんど水平な屋根のことを「陸屋根」という。鉄筋コンクリートの建築物の屋根は、ほとんどがこれだ。〈ろくやね

最中の月  「最中」は真ん中、真っ盛り、という意味。「最中の月」は満月のこと。なお、和菓子の最中は、形が「最中の月」に似ていることから命名されたという。〈もなか

翻筋斗を打つ  「翻筋斗」は「もどり」という読みが転じたもの。中国語では筋斗と書いて、とんぼがえりを意味する。中国の古典「孫悟空」では、悟空がとんぼがえりをすると出てくるのが筋斗雲(きんとうん)だ。〈もんどり

薬缶に水を入れる  「やっかん」から転じたもの。元々は薬を煎じるのに用いたのでこの漢字が使われている。〈やかん

益体もない  「益体」とは、物事がきちんと整っていて、秩序がある様子のことをいう。「益体もない」とは、役に立たずにしまりのないことを意味する。「この益体なし!」と相手を誹謗する時にも使う。〈やくたい

動もすると  物事がとかくそうなりがちな様子。ともすれば。「動もせば」ともいう。〈やや・も

相対取引に応じる  「そうたい」と読んでしまいがちだが、それでは間違い。「相対取引」では、売り手と買い手が直接交渉し、値段や数量、決済方法などの売買内容を決定する。為替や不動産などでしばしば相対取引が用いられる。〈あいたいとりひき

夜盗虫に野菜をやられる  「夜盗虫」はヨトウガの類の幼虫。日中は葉裏や土の中に隠れ、夜になると盗人のように農作物にかじりつくことからこの名が付いた。大量発生すると、畑で葉をかじる音が聞こえるほどの大食漢だという。〈よとうむし

屋敷の擁壁  「擁壁」とは、盛り土や崖面が崩れ落ちないように設置する壁のこと。ブロックやコンクリート、石などが使われる。〈ようへき

干天の慈雨  難しく考えずに音読みすれば読める。日照り続きの時に降る恵みの雨を意味する。苦しい時の救いを表すこともある。〈かんてん・の・じう

音頭を取る  雅楽の合奏で各楽器の首席奏者を指す「おんどう」が転じたもので、合唱する時に、最初に歌いだして調子を引っ張る人を指す。また、何かをはじめる時に、先頭に立って周りをまとめていくことを「音頭を取る」という。〈おんど

国の  「本居」と同意。土台や基礎、物事の根本という意味もある。〈もとい

言質を取られる  「言質」とは、後で証拠となるような約束の言葉。「言質」の「質」の字の読み方は呉音読みで、六世紀頃中国南方より伝わった発音が日本語化したもの。「しつ」という漢音より先に日本に伝わった。〈げんち

法律の文言  「文言」は文章中の語句や文句を指す。実は「ぶんげん」とも読む。〈もんごん

帽子を目深に被る  「目の当たり」ともいうように、「目」には「ま」という読み方もある。〈まぶか

村の公事  「公事」は公の事務全般を指す。古くは朝廷の政務や儀式を意味した。「こうじ」とは読まないが、「くうじ」という読み方はある。〈くじ

河骨の花が咲く  「河骨」は川などに生える睡蓮科の植物。水中の根茎が骨に見えることからこの名前が付いた。同じ読みで「川骨」とも書かれ、根茎部分は漢方薬の「センコツ」として服用される。効能は止血、強壮だそうだ。〈こうほね

降魔の利剣  悪鬼、魔物を降伏させるために不動明王が持つ鋭い剣。「降魔」とは仏教用語で悪魔を「降伏(ごうぶく)」すること。〈ごうま・の・りけん

赫怒の面相  「赫」には盛大であるという意味や、火が燃えるように赤々としているという意味がある。これらの意味に「怒」を付け加えたら、どのような意味になるかは容易に想像が付く。できることなら「赫怒の面相」はあまり見たくないものだ。〈かくど・の・めんそう

刺客を放つ  「刺客」とは暗殺を行う人を指す。「しきゃく」や「せっかく」という読みもある。〈しかく

懐不如意につき  「如意」とは仏教用語で物事が自分の意のままになることを言う。「懐不如意」の場合は、「懐不如意につき、残念ながらお金をお貸しすることはできません」などといった具合に使う。〈ふところふにょい

神通力を発揮する  「神通力」とは仏教用語で超人的能力を指す。「じんつうりき」とも読む。〈じんずうりき

草履を履く  「草」という漢字が示す通り、本来、藁や竹皮、いぐさなどを編んだものが「草履」だったが、現在ではビニールやゴム製のものも「ゴム草履」などといって「草履」の一種になっている。豊臣秀吉が「草履取り」から関白まで昇り詰めたのは、あまりにも有名な話だ。〈ぞうり

五月雨を集めてはやし最上川  梅雨の季節に「最上川」を訪れた芭蕉が詠んだ有名な句だ。現在の5月は旧暦では6月の梅雨時にあたる。「さつきあめ」という読み方もあるが、ここでは五七五に当てはまらないので別の読み。〈さみだれ

作務衣を着る  元々は僧侶が作業着として着用していたものだが、その着心地の良さから、現在では一般の人も部屋着として着用する。〈さむえ

深甚なる感謝を表す  言葉の意味が「甚だ深いこと」であるのはすぐにわかる。さて、読みは?〈しんじん

性懲りもなく  「性懲り」は心の底から懲りることを意味するが、簡単に「性懲りもなく」なってしまう人が、ふたたび博打や酒におぼれてしまうのだろう。〈しょうこ・り

地蔵の御利益 「御利益」とは、神仏の慈悲や人々の祈念によって生じる幸福や恩恵のことを指す。「地蔵の御利益」の他にも、「観音様の御利益」、「御先祖様の御利益」といった使い方をする。〈ごりやく

畑の元肥  「元肥」は、植物を植え付ける際に前もって与えておく肥料のこと。ちなみに、「元肥」に対して、植物の生育に応じて与える肥料のことを「追肥(ついひ)」という。〈もとごえ

投網を打つ  「投網」は被せ網の一種。上部に長い手綱を結び、網裾に錘をつけた円錐形の網で、浅いところにいる魚を主に狙う。〈とあみ

祭りの山車  「山車」は神社の祭礼の時に引かれるさまざまな装飾を施した屋台。屋台の鉾の先に付けた竹籠の編み残し部分を「だし」といったのが由来といわれている。関西では、「壇尻(だんじり)」や「山(やま)」と呼ばれる。〈だし

凸凹道を走る  「凸凹」の文字の順序を替えると「凹凸(おうとつ)」という言葉になる。どちらも意味は同じ。ちなみに、「凸」も「凹」も画数は5画だ。〈でこぼこみち

丁字路を右折する  ローマ字が氾濫している現在、何の疑問も抱かず「そこのT(ティー)字路を右に曲がって」などと言っている人も多いはず。しかし本来は「丁字路」で、れっきとした純正の日本語だ。ちなみに中国語では「丁字路」のことを「丁字街」と記す。〈ていじろ

短兵急な催促  「短兵急」とは、刀剣などを持って、いきなり敵に攻撃をしかける様子。それが転じて、突然何かの行動を起こすさま、慌てて事を起こすさまを表すようになった。〈たんぺいきゅう

辱めを受ける  侮辱、陵辱、屈辱、恥辱、国辱、汚辱。どれも受けたくない「辱め」ばかりだ。〈はずかし・め

波路はるか  「波路」は船が波間に刻んだ道。飛行機によって海を越える旅が主流になった昨今、旅の途中で、遠く「波路はるか」を見つめることもほとんどなくなった。〈なみじ

懇ろに応接する  「ねもころ」が転じた。「懇ろ」は、手厚く、心のこもったさまを表す。〈ねんご・ろ

を飛ばす  「檄」とは、昔の中国で役人が人民を呼び集めるために書いた木札の徴召文書を意味した。現代では、自分の主張を人々に理解してもらい、行動を促すための文書を意味する。「激励する」と「檄を飛ばす」を混同している人も多いようだが、意味が異なる。〈げき

なんというたらく  元来「体たらく」は単に、有り様、様子、状態を意味したが、近代以降は、あまり良くない有り様や様子を批判的・軽蔑的に表現する場合に使われるようになった。〈てい

正時に鐘を鳴らす  「せいじ」と読んでいる人が多いのでは。〈しょうじ

辞書の凡例を読む  「凡例」は、辞書などの書物の方針や使い方を書いた部分をいう。「平凡」「凡庸」に代表されるように、「ぼん」と読む場合が多い漢字なので、ついつい「ぼんれい」と読んでしまいたくなる言葉だ。〈はんれい

晴れの日が累日続く  「累」には、重なるや積み重ねるという意味がある。この漢字に「日」を続けて「累日」とすると、連日という意味になる。〈るいじつ

不日お伺いいたします  「日ならず」と書いて「不日」。つまり、幾日もたたないこと、まもなくということを意味する。〈ふじつ

阿弥陀仏帰依する  「阿弥陀仏」は浄土宗・浄土真宗の本尊だ。我々がよく耳にする「南無阿弥陀仏」には「阿弥陀仏に帰依する」という意味がある。ちなみに、日蓮宗の経文の「南無妙法蓮華経」には「法華経に帰依する」という意味がある。〈あみだぶつ〉〈きえ

竹刀を振り回す  一昔前までは、愛のムチと称して「竹刀」を振り回していた教師もいたようだが、今ではめっきり見かけなくなったようだ。〈しない

二進三進もいかない  「二進」も「三進」どちらも「算盤(そろばん)」用語だ。「二進」は二で割り切れることを意味し、「三進」は三で割り切れることを意味する。商売勘定で、計算がすっきり割り切れなければ、商売がうまくいっていないことを意味したことから、物事が行き詰まって身動きがとれない様子を表すようになった。〈にっち〉〈さっち

横紙破りの人物  ここでいう「紙」とは和紙のこと。和紙には縦に漉き目が入っているため、横には破りづらい。転じて「横紙破りの人物」というのは、無理を押し通して、理不尽なことをする人を指すようになった。同じような人を指す言葉に「横車を押す人」というのもある。両者いかにも強情そうだ。〈よこがみやぶ・り

三行半を突きつける  「三行半」は江戸時代の離縁状。妻が離婚を望む場合でも、当時は妻の側から直接離縁を申し出ることができなかったので、夫が妻に離縁状を突きつけるという形で離婚が成立した。離縁状が文字通り三行半で書かれたことから、離縁状の代名詞となった。〈みくだりはん

釈迦化身  一般に「釈迦」といえば、仏教の開祖である「お釈迦様」を指す。その「化身」とは一体どんな人だろうか。〈しゃか〉〈けしん

糟糠の妻  「糟糠」はかすとぬかのこと。転じて粗末な食事、貧しい生活という意味に。「糟糠の妻」は『後漢書』の「糟糠の妻は堂より下さず」からの語で、貧しいときから苦労をともにしてきた妻のこと。〈そうこう

に構える  剣道で、刀を斜めに構えること。転じて、物事に対し、十分に身構えることを指す。また、物事に正面から向き合わずに、ずれた対応の仕方をすることも指す。〈しゃ

赤銅色の肌  「せきどうしょく」と読みがちだが、そうは読まない。「赤銅」は古くから仏像などの金属工芸に用いられてきた。〈しゃくどういろ

の道は  同類の者は互いにその社会や物事に通じているということ。類語に、「餅は餅屋」というのがある。こちらは、餅は餅屋がつくのが一番上手という意味で、つまり、物事はその道の専門家に任せるのが一番ということを意味する。〈じゃ〉〈へび

沼沢の地  文字通り沼と沢のある地帯のことだが、読み方がいささか変則的だ。〈しょうたく

遮二無二前進する  「遮二無二」は「我武者羅(がむしゃら)に」と同じ意味。〈しゃにむに

這般の事情  「諸般の事情」という言い方はよく耳にするが、「這般の事情」とはどういう意味だろうか。「這」は日本語では「這う」という使い方をされる場合が多いが、中国語では、「これ・この・これら・こちら」という意味で使われる。一方、「般」には物事の一通りという意味がある。結果、二つの漢字を並べて「這般」とすると、「今般」や「この度」といった意味になる。〈しゃはん

祝言を挙げる  「祝言」という漢字だけを見たら、思わず「しゅくげん」と読んでしまいそうだが……。〈しゅうげん

修験道の道場  「修験」の語源は、「修行して迷いを除き、験徳をあらわす」から来ている。「修験道」の開祖は、七世紀に生まれた役行者(えんのぎょうじゃ)といわれる。有名な「修験道の道場」には、紀州の熊野、葛城(かつらぎ)、大和の金峯山(きんぷせん)がある。東日本では、出羽三山(でわさんざん)や日光の二荒山(ふたらさん)が有名だ。〈しゅげんどう

三尺の秋水 「秋水」には、秋の頃の澄み切った水、または研ぎすまされた刀といった意味がある。「三尺の秋水」となると、約90センチほどの名刀を表す言葉になる。〈さんじゃく・の・しゅうすい

首肯しがたい  「首肯」は肯定してうなずくこと。あまり深読みせずに思いついたまま読めば、読める。〈しゅこう

従容として死に赴く  あまり深読みせずに「従容」を読むと「じゅうよう」となるが、それでは間違いの元。ここでは一ひねりが必要。「従容」は、ゆったりとして落ち着いたさまを表す。このような心境で死に赴きたいものだ。〈しょうよう〉〈おもむ・く

将来を嘱目される  「嘱託社員」とでも書いてあれば、スラリと読めてしまうものが、他の漢字と一緒になって「嘱目」となるとスラリとはいかなくなってしまう。このように組み合せによって簡単に読めたり、難しくなったりする漢字は結構あるものだ。〈しょくもく